私たちの身の回りの食材には血糖値が急激に上がりやすいものが多く、注意せずに生活していると血糖値が高い状態が続き、糖尿病になるリスクがあります。
特に日本人は糖尿病になりやすい体質で、日本人の5人に1人は糖尿病・糖尿病予備軍と言われています。
また、食事によって血糖値が急上昇すると、食事で摂った糖分が脂肪に変わりやすくなり、太りやすくなります。
血糖値の上昇はダイエットの大敵とも言えますね。
健康や美容のために、日頃から血糖値を下げる生活習慣を取り入れることで、健康管理を行うことが大切です。
血糖値を下げるための方法はいろいろと紹介されていますが、中でも私たちが取り入れやすいと思われるのが、お茶を飲むことです。
飲むだけで血糖値対策ができるので、とても手軽ですよね。
血糖値が高い人におすすめのお茶とは
お茶は日本だけでなく、世界中で古くから親しまれてきました。
ひと口にお茶と言っても、原料となる植物はさまざまで、原料によって私たちの身体にさまざまな効果をもたらします。
近年の研究で、血糖値を下げる成分が含まれていると明らかになったお茶もあります。
こう言ったお茶を飲むようにするだけでも、血糖値対策は可能なのです。
ここでは、お茶の中でも血糖値を下げるのに効果的な成分を含んだものをご紹介します。
日本のお茶
私たちの身近にある日本のお茶にも、世界中から注目されるほど血糖値に効果が期待できるお茶がたくさんあります。
海外のお茶と比べると手に入れやすく、なじみもあって取り入れやすいのではないでしょうか。
ここでは、血糖値対策におすすめの日本のお茶を5つご紹介します。
桑の葉茶
桑の葉は、日本に自生するクワ科の落葉樹の葉で、蚕の餌として有名です。
また、古くから副作用の少ない漢方薬としても活用されており、養蚕業が盛んな地域では昔からお茶として親しまれてきました。
最近の研究で、桑の葉にはDNJ(1-デオキシノジリマイシン)という希少成分が含まれていることが分かりました。
このDNJという成分はブドウ糖と似た構造をしており、摂取すると体内でブドウ糖と間違われ、小腸での糖質の吸収を阻害します。
その結果として、食事での血糖値の上昇を抑えることができるのです。
また、桑の葉にはビタミンやミネラルも豊富に含まれており、便秘や二日酔いにも効果があります。
オクラ茶
オクラには水溶性の食物繊維が多く含まれています。
オクラは通常茹でたり炒めたりして食べますが、オクラの水溶性食物繊維は水に溶けやすく熱にも弱い成分なので、普段通り調理してしまうと効果が期待できなくなってしまいます。
オクラの水溶性食物繊維を効率良く摂取するには、緑茶と共にオクラを水に漬けることで成分を水出しした「オクラ茶」として飲むのがおすすめです。
食事の前にオクラ茶を摂取すると、食事で摂った糖分が胃の中で食物繊維に包み込まれ、腸で吸収されにくくなります。
そして、吸収されなかった糖分はそのまま排出されるので、血糖値の上昇を防ぐことができます。
また、食物繊維は胃の中で水を含んで膨らむので満腹感が得られ、食べ過ぎを防ぐ効果もあります。
番茶
番茶には、ポリサッカライドが豊富に含まれています。
ポリサッカライドを摂取すると血中の糖分を効率良く処理できるようになり、血糖値の上昇を抑えることができるという研究結果が報告されています。
ポリサッカライドは、緑茶や紅茶など茶葉には種類を問わず含まれていますが、中でも9月から10月にかけて収穫された秋冬番茶に一番多く含まれていることが分かっています。
また、熱に弱い成分なので、血糖値の上昇予防には水出しで飲むのがおすすめです。
緑茶
緑茶に含まれるポリフェノールの一種であるカテキンは、α-アミラーゼなど糖質を分解する酵素の働きを阻害し、食事で摂った糖質が腸で吸収されるのを抑える働きがあります。
このため、血糖値の上昇を抑えるためには緑茶を食前や食事と共に飲むのがおすすめです。
また、緑茶を1日8〜10杯飲むと糖尿病や肥満予防に効果があるとの報告がされているため、1日を通してこまめに飲むとなお良いでしょう。
シークヮーサー
シークヮーサーは沖縄などで収穫される柑橘類で、別名ヒラミレモンと呼ばれています。
酸っぱい果汁として有名ですが、表皮を乾燥させてお茶として飲むこともできます。
シークヮーサーには、血糖値の上昇を抑えるノビレチンという成分が豊富に含まれています。
また、ノビレチンの含有量は果実より表皮の方が圧倒的に多いので、シークヮーサー茶は効率良く成分を摂取できる方法と言えます。
ノビレチンは血糖値の上昇を抑えるほかにも、高血圧予防や肝臓の働きを助ける効果など、健康に役立つ多くの効果が期待できます。
世界のお茶
海外にも昔から飲まれているお茶はたくさんあり、中には血糖値対策に効果的なお茶もあります。
日本のお茶にはない風味のものなど、好みに合わせて選ぶこともできますね。
ここでは、血糖値対策におすすめの世界のお茶を4つご紹介します。
グァバ茶
グァバ茶は、乾燥させたグァバの葉のお茶で、独特の少し甘い香りが特徴です。
グァバ茶に含まれるグァバ葉ポリフェノールは、でんぷんなどの糖分を分解する酵素α-アミラーゼ、マルターゼ、スクラーゼの働きを阻害する働きがあります。
その結果、体内で糖質が分解されてできるブドウ糖の量が少なくなるので、糖の吸収が穏やかになり、血糖値の上昇を抑えることができます。
グァバ葉ポリフェノール自体は体内に吸収されることがないので、安全性が高い成分です。
アンデスのヤーコン茶
ヤーコンは、サツマイモのような見た目のキク科の根菜です。
アンデス高原原産の野菜ですが、現在は日本でも栽培されており、北海道で多く収穫されるほか、福島県の特産品でもあります。
主にヤーコンの葉や茎を乾燥させて作られるヤーコン茶には、イヌリンやフラクトオリゴ糖、食物繊維、ポリフェノール類が豊富に含まれています。
イヌリンは、天然のインスリンと呼ばれており、血糖値を下げる働きがあります。
また、フラクトオリゴ糖は難消化性の糖類で、消化吸収されにくく血糖値の上昇を抑える働きがあります。
さらに、食物繊維も食物の消化スピードを落とすことで血糖値の上昇を抑える働きがあります。
このように血糖値の上昇を抑える成分を豊富に含んでいることから、ヤーコンは糖尿病対策にも広く取り入れられています。
ヤーコン茶は苦くて少し飲みにくいですが、優れた効果が期待できます。
どうしても飲みにくい場合は、他のお茶とブレンドすると飲みやすくなります。
フィリピンのバナバ茶
バナバ茶は、フィリピンで1500年以上前から飲まれているお茶です。
近年の研究によって、血糖値を下げる効果があることが明らかになり、日本でも注目されるようになりました。
バナバの葉には、糖が素早く血液中の細胞に取り込まれるよう促すコロソール酸という物質が含まれており、血糖値の上昇を抑えてくれます。
食後に飲むのがおすすめです。
また、バナバ茶は食物繊維やミネラル類も豊富に含まれており、血液中の糖質の消費を促す効果も期待できます。
味については好みが分かれるようですが、クセは少な目のお茶です。
インドのギムネマ茶
ギムネマ茶の原料であるギムネマ・シルベスタという植物は、インドの民間医療法アーユル・ヴェーダで古来より糖尿病の薬として使われてきました。
ギムネマ茶に含まれるギムネマ酸には、小腸で糖の吸収を阻害する働きがあります。この働きは摂取後約2時間続くので、ギムネマ茶は食前に飲むのがおすすめです。
また、ギムネマ酸を続けて摂取した実験では、インスリンの分泌や血糖値の上昇が抑えられたという報告がありますので、継続して飲むのがおすすめです。
茶がらも利用しよう
お茶として飲んだ後の茶がらはそのまま捨ててしまいがちですが、茶がらには溶け出さなかった栄養が残っています。
栄養を残さず摂るためには、茶がらも食べてしまうのが良いですね。
茶がらは細かく刻んでチャーハンや卵焼きに混ぜたり、乾燥させて料理にふりかけると食べやすいです。
また、茶がらは食べる以外にも活用方法があります。
例えば、茶がらを畳の掃除に使うと細かい部分のホコリまでよく取れます。
さらに、乾燥させた茶がらはパックに入れて入浴剤や消臭剤として活用することができます。
茶がらは少し工夫することでとても役に立つので、そのまま捨てずに是非使ってみてください。
血糖値を下げる飲み物の選び方
前途の通り、お茶には血糖値を下げる効果があるものがたくさんあります。さらに、お茶はカロリーを気にせず飲めるというメリットもあります。
また、お茶以外にも血糖値を下げる効果が期待できる飲み物もあります。
ここでは、お茶以外で血糖値を下げる飲み物をご紹介します。
トマトジュース
トマトに含まれるリコピンには、活性酸素を除去し、インスリンの働きを促進する効果があります。
さらに、リコピンにはインスリンの働きを促進するアディポネクチンというホルモンを増やす働きがあります。
トマトジュースを飲めば、こういったリコピンの働きにより、血糖値を下げる効果が得られるとされています。
コーヒー
時間帯を問わず、1日3〜5杯のコーヒーを飲むと血糖値の上昇を抑える効果があります。
飲み方はホットでもアイスでもよく、カフェイン抜きのコーヒーでも効果があります。
牛乳
牛乳に含まれるホエイプロテインというタンパク質には、インスリンの分泌を促すホルモンの生産を高める効果があるとされています。これにより、血糖値の上昇を抑えることができます。
ただし、牛乳には糖質や脂質が含まれているので、飲み過ぎには注意してください。
トクホの飲み物
お茶やサイダーなど、血糖値の上昇を抑える特定保健用食品(トクホ)の飲み物が発売されています。
コンビニなどでも手軽に手に入るので、外出先でも活用しやすいですね。
緑茶を飲み続けると血糖値の上昇が抑制される理由
体内の内臓脂肪が多くなると、インスリンの働きが低下し、血糖値が下がりにくくなります。
カテキンなど緑茶に含まれる茶ポリフェノールを継続して摂ると、脂肪を消費しやすい体質になり、内臓脂肪の蓄積を防止することができます。
その結果、インスリンの働きが低下することを防ぎ、血糖値の上昇を抑えることができるのです。
前途の通り、緑茶には食事の際の血糖値の上昇を抑える効果もあります。
ただし、脂肪の代謝を高めるには緑茶を1日6杯以上継続して飲むと良いとされているので、毎日の水分補給に緑茶を取り入れてみてください。
コーヒーが糖尿病の発症を予防する効果
糖尿病の原因として、インスリンの働きが低下したり、インスリンの分泌量が減少することが挙げられます。
コーヒーに含まれるポリフェノールには、前途のインスリンの働きを促進するホルモンであるアディポネクチンを増やす効果があります。
また、ポリフェノールには膵臓の細胞を活性化し、インスリンの分泌が減少するのを防ぐ効果があります。
これらの効果はカフェイン抜きのものでも得られますが、1日3〜5杯を継続して飲む必要があります。
また、糖尿病を予防するという観点から、砂糖は入れずに飲むのがおすすめです。
血糖値の上昇を抑える方法
お茶をはじめとする飲み物を飲む以外に、血糖値の上昇を抑える生活習慣を取り入れることも血糖値の上昇を抑えるために効果的です。
ここでは、飲み物での血糖値対策と並行して取り組みたい方法をご紹介します。
有酸素運動と筋トレ
ウォーキングなどの有酸素運動や筋トレなどの運動をすると、血糖値の上昇を抑えることができます。
有酸素運動をすると、血液中の糖分が細胞内に取り込まれて血糖値が下がります。
有酸素運動は即効性があるので、特に食後1時間以内に行うと効果的です。運動の強度としては、ややきついと感じる程度が良いとされています。
また、有酸素運動や筋トレを継続して行なうと、インスリンの働きが良くなり血糖値が下がりやすくなります。
有酸素運動と筋トレでは使う筋肉の種類も異なるため、両方取り入れることが理想です。
しかし、筋トレは血圧の急上昇や一時的な血糖値の上昇など身体にかかる負担が大きいため、無理に取り組むとかえって健康を害する可能性があります。
運動は継続して行うことが大切なので、無理のない範囲で取り入れていきましょう。
Gl値の低い食事
GI値とは、炭水化物が糖に分解されるまでの早さを表す単位のこと。
GI値が低い食品は糖に分解されるまでに時間がかかるので、血糖値の急上昇を抑えることができます。
カロリーが同じ炭水化物であっても、食物繊維の量などによってGI値は異なります。
白米や一般的な白いパンを玄米やライ麦パン、全粒粉パンに替えるだけでも食事のGI値を下げることができます。
また、蕎麦もGI値が低いので外食時などに取り入れてみてはいかがでしょうか。
食後の血糖値には注意が必要
食事によって体に食べ物が入ると、血糖値は上昇します。
これは自然な反応で、食後の血糖値として適正な範囲内の数値であれば問題はありません。
通常は血糖値が上昇するとインスリンが分泌されて、食後2時間程度で血糖値は下がります。
しかし、インスリンの分泌が少ない場合などは、血糖値が高い状態が長引くことがあります。
この症状は「食後高血糖」や「血糖値スパイク」と呼ばれています。
血糖値スパイクとは
食後という、短時間のあいだに血糖値が急上昇するのが「血糖値スパイク」。
血糖値スパイクは、放置すると糖尿病を発症したり、動脈硬化などさまざまな病気のリスクが高まります。
また、健康診断などで測る空腹時の血糖値に異常がない場合でも、血糖値スパイクとなっている場合があります。
血糖値スパイクを予防するためにも、血糖値の上昇を抑える生活習慣を取り入れるようにしましょう。
お茶で血糖値対策を始めよう
糖尿病予防やダイエットのためにも、血糖値対策はとても重要です。
特に日本人は糖尿病になりやすく、一度発症してしまうと治すことが難しい病気なので、毎日の生活の中で予防することが大切です。
血糖値を下げるのに効果的なお茶を飲むことでも血糖値対策は可能です。
運動が苦手な方や、何から始めれば良いか悩むという方は、まずはお茶を飲むことから始めてみるのがおすすめです。
お茶は低カロリーかつ、さまざまな健康効果が期待できる飲み物なので、ぜひ生活に取り入れてみてください。