免疫は身体の防衛部隊だが、作用がズレると問題を起こす

◎免疫は身体の防衛部隊だが、作用がズレると問題を起こす
●免疫から引き起こされる病気もある
神経性脱毛症はこの免疫に大きくかかわる脱毛症ですが、他のひこう性脱毛症、脂漏性脱毛症、細菌性脱毛症、代謝異常性脱毛症とも関係しています。
これら4つの脱毛症の主原因はそれぞれ違うものの、免疫との関係で脱毛が激しくなったり、進行したりすることが十分に考えられるのです。
ガンへの効果で免疫がクローズアップされているように、免疫は、私たちの健康と生命を守る最後の砦です。
ガンでなくても、いろいろなウイルスや細菌と戦い、感染症や食中毒から守ったりもしてくれます。
しかし、免疫というメカニズムは非常に複雑です。
正常に働いていれば健康と生命を守る大切な砦として作用してくれますが、メカニズムが少し狂うと健康を損なうことにもなります。
ときには、生命にかかわるような重大な事態を招くこともあるのです。
たとえば、自己免疫疾患と呼ばれる病気があります。
全身性エリテマトーデス(SLE)や慢性関節リウマチ、橋本病と呼ばれる甲状腺炎などです。
自己免疫疾患のような難病でなくても、いま健康で大問題になっている花粉症やアトピー性皮膚炎といったアレルギーも免疫が関係しています。
これらのアレルギー症状は、身体に入ってきた異物に免疫が過破に反応しすぎたために発症するのです。
免疫が自己免疫疾患やアレルギー症などの引き金になるといっても、正常に働いている限りは健康と生命を守ってくれるこの上ない強力な味方です。
「免疫とはなかなか微妙なところがある」と理解すればよいでしょう。

●免疫で活躍する白血球にはマクロファージ、顆粒球、リンパ球がある
免疫と聞くと、白血球を思い浮かべられると思います。
白血球といっても、じつは1種類ではありません。
白血球は、マクロファージ、顆粒球、リンパ球に大別されます。
私たちの白血球は60%が顆粒球(かりゅうきゅう)で、35%がリンパ球、残りの5%がマクロファージになっています。
ただしこれは基本的な割合で、無理をしたり、ストレスが加わるたびに変化します。
1日のなかでも、天気や季節でも、一生のうちでも変化するといいます。
マクロファージは、外界から入ってきた細菌などの異物を食べ、処理します。
異物を食べる能力を引き継いだのが顆粒球で、それらが食べ損なった異物を排出したり、処理する能力を引き継いだのがリンパ球なのです。
リンパ球の直径は6~10マイクロメートル (1マイクロメートルは1000分の1ミリ)で、T細胞、B細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞、胸腺外分化T細胞などがあります。
B細胞には侵入してきた小型の細菌やウイルスなどの小さな異物を食い止め、それらに抵抗するための抗体をつくる働きがあります。
抗体がつくられるためには、細菌やウイルスを食べ、その侵入をT細胞に知らせるマクロファージの働きがきっかけになります。
NK細胞は、ウイルスやガン細胞を発見すると、抗体に関係なく攻撃を仕かけます
一方の顆粒球は 直径が10~15マイクロメートルと、リンパ球より少し大きくなります。
顆粒球には、ブドウ球菌のような大型の細菌が侵入すると、いきなり食べる性質があります。
またリンパ球とは違い、抗体をつくるような働きはありません。
こうした連携プレーが、私たちの免疫の姿です。

●免疫は自律神経に支配されている
病気は免疫がきちんと働かないことから起こるわけですから、病気の原因は自律神経にあることになります。
私たちの身体は、60兆個もの細胞からできているといわれています。
その細胞の働きを調整するために、全身に分布している神経が自律神経です。
自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、心臓の鼓動、消化や吸収、体温調節、排泄、それに生殖といった日常的な機能を、働きっぱなしでそれこそ片時も休まずに調節しています。
交感神経は行動や運動を担当する神経で、血管を収縮させて血圧や心拍を上昇させたり、食欲を抑えたりします。
副交感神経は休息や食事を担当する神経で、血管を拡張させて血圧や心拍を低下させたり、胃腸の働きを促進したりします。
交感神経と副交感神経の働きは一方が強くなると、一方が弱くなります。
この関係がうまくいっているときが、自律神経のバランスが保たれている状態です。
シーソーのように、ゆらゆらとバランスがとれて動いているときは気分がいいし健康でいられるのですが、激しくギッタンバッタン動くと気分も悪くなって体に変調をきたします。
体調をくずしたときは、「交感神経の緊張」か「副交感神経の過剰反応」が起きているのです。
交感神経は顆粒球を支配し、副交感神経はリンパ球を支配しています。
交感神経が刺激されるとアドレナリンが、副交感神経が刺激されるとアセチルコリンが分泌されます。
そして、顆粒球の細胞膜にはアドレナリンと結びつく受容体があり、これが交感神経の命令を受けます。
またリンパ球の細胞膜にはアセチルコリンと結びつく受容体があり、これが副交感神経の命令を受けるのです。

○えっ! 免疫細胞が毛根を攻撃する!
●髪の危機! それは顆粒球の細菌への攻撃からはじまる
頭皮の環境を不潔にしておくと、毛穴から頭部常在菌が入り込みます。
また、合成界面活性剤入りのシャンプーなどで皮脂を過剰に取りすぎると、頭皮のガードが甘くなります。
その隙をついても、頭部常在菌は侵入します。
すると、顆粒球が出動して、侵入した頭部常在菌と戦うことになるわけです。
細菌などと戦ったあと、顆粒球はすぐに死にます。
そのとき、顆粒球は活性酸素をまき散らかすのです。
活性酸素は、病気の90%に関係するとさえいわれています。
免疫部隊としての働きを終えた顆粒球は、危険なその活性酸素をまき散らかすのです。
活性酸素はその強力な酸化力で、私たちの細胞や組織を傷つけます。
顆粒球の働きで頭部常在菌が死んだとしても、活性酸素の毒が大問題になります。
顆粒球がまき散らかす活性酸素が頭皮組織、とくに毛根や毛母細胞に与えるダメージは相当のものになると思わなければなりません。
毛根がダメージを受けると、髪の毛をしっかり支える力が減少します。
活性酸素にさらされつづければ、抜け毛に至ることも考えられます。
また、毛母細胞の分裂こそ、育毛そのものです。
その毛母細胞がダメージを受けると分裂回数が少なくなり、健康な髪の毛が育たなくなります。
さらに、毛母細胞のダメージはへアサイクルの異常を招き、次のサイクルで生えてくるはずの髪の毛が生えてこなくなることも予測できるのです。

●細菌がいない場合でも、顆粒球の増加で脱毛が進む
頭部常在菌が侵入しなくても、顆粒球の活性酸素が脱毛に結びつくことは十分に考えらます。
顆粒球は交感神経の支配を受けます。
交感神経が優位になると顆粒球が増え、活性酸素が大量に発生してしまうのです。
怖いことに、増えた顆粒球は組織に押しかけ、活性酸素で粘膜組織などを破壊します。
細菌がいない場所で起こる胃潰瘍や胃潰瘍性大腸炎、それに虫垂炎などは、顆粒球が増えたことで活性酸素が増え、その活性酸素が組織を破壊することで起こるのです。
同じようなことは、頭皮の組織でも起こると考えられます。
交感神経が優位になることで顆粒球が増え、顆粒球が頭皮の組織に押しかけて組織障害が起こります。
さらに、頭皮の組織が顆粒球の活性酸素にさらされることにもなります。
とくに毛根や毛母細胞が活性酸素の攻撃を受けると、先の細菌が侵入したケースと同じことが起こります。
髪の毛を支える力が弱り、毛母細胞の分裂が抑えられ、ヘアサイクルの異常が招かれたりします。
これは異常脱毛の原因です。

◎こんな生活が顆粒球を増やし、脱毛のリスクを大きくする
●夜型生活が自律神経のバランスを乱し、副交感神経の働きを抑える
抜け毛毛と免疫の関係での大きなポイントは、顆粒球の増殖です。
ここで、交感神経がクローズアップされてきます。
交感神経が顆粒球を支配しているわけですから、顆粒球を増やさないためには、交感神経を優位にしなければいいのです。
交感神経と副交感神経はシーソーのような関係です。
交感神経を優位にしないためには、副交感神経を優位にしてやればいいわけです。
しかし、私たちの生活は交感神経を優位に働かせる環境や条件が多すぎ、どうしても顆粒球が増えてしまう傾向が強いのです。
その代表が夜型生活とストレスです。
まず夜型生活から見ていきますが、夜更かしして朝寝坊することは、自律神経を狂わせる最もよくない例です。
人間は通常、昼間は交感神経が働き、夜間は副交感神経が働くようになっています。
夜遅くまでテレビを見たり、深夜までのテレビゲームが習慣になっている人では、夜になっても交感神経優位の状態がつづくようになります。
その状態が習慣になると、副交感神経が働かなくなります。
これがいわゆる自律神経失調症で、夜中なのに目が冴える、布団に入っても足が冷たくて眠れない、熟睡できず何度も目が覚めるといった不眠症状に悩まされます。
当然、身体のなかでは顆粒球がどんどん増えている状態です。
その顆粒球が脱毛の原因になっていることは言うまでもありませんが、ホルモン バランスも崩れてきます。
ノルアドレナリンの分泌が過剰になり、悪玉コレステロールが増えてしまいます。
その結果、頭皮の毛細血管の血流が阻害され、毛母細胞の働きが弱くなり、ここから抜け毛が進行する恐れもあります。
また不眠がつづくと日中は身体がだるく、頭が重くすっきりしない状態がつづきます。
これでは仕事や勉強の意欲が湧きませんし、成果も上がりません。
ストレスはたまる一方でますます交感神経が優位になり、脱毛原因がふくらむばかりです。

●継続するストレスが交感神経優位の状態をつづける
夜型生活と並び、交感神経を優位にするものがストレスです。
現代社会は「ストレス社会」といわれるように、多くの人々はストレスを抱えながら生きています。
もともとストレスは工学用語でした。
金属に重力をかけるとねじれ現象があらわれますが、その現象をあらわす言葉として使われていたのです。
1940年代に、カナダの医師ハンス・セリエが、実験動物に一定のいじめを加えると、どれもぐったりした症状を見せることを発見します。
外界の変化と自分との適応がうまくいかないためにこうした症状がでるのですが、この現象からセリエがストレス学説を唱えたことが、広くストレスという言葉が使われる原因です。
ストレスは、私たちの身体にさまざまな影響を及ぼします。
極度のストレスでは、神経症になる場合もあります。
ストレスが原因で症状が引き起こされることがわかるまで、原因のわからない症状は、自律神経失調症されていました。
現在では「過呼吸症候群」とか「ドライアイ」といったように、病状別に呼ばれるようになっています。
このほか、「過敏性腸症候群」や「神経性胃炎」など、あきらかにストレスが原因と思われる内臓の病気も増えています。
といっても、ストレスは悪い面ばかりではありません。
ストレスが加わると顆粒球が増えて活性酸素を増やしますが、実はこの活性酸素には、病気の原因になるだけでなく、人間に活力やエネルギーを当てるプラスの側面もあるのです。
活性酸素とは、体の中にはある程度存在する酸化した酸素で、量が増えすぎなければ、元気の源として体に必要です。
目標達成や人間関係での緊張感も、適度なストレスになります。
そのストレスがやる気につながります。
つまり、やる気に働きかけるストレスというものもあるわけです。
とはいえ、ストレスが継続すると自律神経のバランスが崩れ、交感神経優位の状況がつくり出されます。
その結果、脱毛につながる顆粒球の増殖がもたらされます。

●肉食への偏りやコンビニ食も自律神経を狂わせる
夜型生活とストレスの持続こそ、交感神経を優位にして脱毛を促進する2大原因です。
そのほか、偏った食事も自律神経のバランスを崩して交感神経を優位にし、髪の毛にダメージを与えます。
食事に必要な消化機能は、副交感神経に支配されています。
だから、食べることで副交感神経が活性化します。
肉食主義か菜食主義かで、体格だけでなく性格も違ってきますが、これは肉を食べるか野菜を食べるかによって、自律神経の交感神経、副交感神経のどちらかが優位になることに関係しています。
タンパク質の肉はアミノ酸からなる酸性食品で、肉を食べると交感神経優位になる。
焼肉だ、しゃぶしゃぶだと毎日のように大量の肉を食べている人は、顆粒球が多くなります。
また、コンビニ食やテイクアウトの弁当も顆粒球を増やします。
顆粒球から見ても、肉食やコンビニ弁当などは脱毛を促進する危険な食品になるわけです。

●身体の冷えも交感神経を優位にする
自律神経は、体温の調節にも活躍しています。
自律神経は血管を包み込むように分布していて、その神経が血管を収縮させたり、拡張させたりしています。
血管を収縮させるのが交感神経で、拡張させるのは副交感神経の働きです。
このことで血液の流れはコントロールされているのですが、体温から見ると、交感神経は体温を下げ、副交感神経は体温を上げることになります。
交感神経に大きく傾くと血行不良の状態になり、冷え性になります。
あまり知られていませんが、脱毛している人の頭皮温度(接触温度計による)は30C以下で、だいたい26〜28℃くらいです。
一般的に正常な人の場合でも、つむじ付近と生え際は温度が低い傾向にあります。
それでも側頭部で32℃以上、後頭部から襟足にかけては34℃前後ありますから、脱毛している人の頭皮温度がいかに低いかがおわかりになると思います。
そして、一般的に低体温の人は頭皮温度も低い傾向があります。
体温が低いということは、血行不良や細胞が不活性のためで、原因として交感神経が優位に働いていることが考えられます。
低体温や頭皮温度の低さと脱毛の関連は、2つの点から考えることができます。
まず血行不良だと、毛母細胞に栄養や酸素が十分に供給されません。
毛母細胞の活発な分裂が損なわれ、栄養の不足した貧弱な弱い髪の毛しか生えてこないようになり、5年のヘアサイクルをまっとうしないで早く抜け落ちることになります。
次に、そうした状態のところに交感神経優位から顆粒球が増殖すると、大量に発生する活性酸素が毛母細胞にダメージを与えます。
これも髪の毛には大きな痛手です。
低体温と頭皮温度の低さは、育毛にダブルパンチを浴びせるわけです。
こうなると体温が低いこと、頭皮温度の低いことは、育毛にとって何とかしなければならない大きな問題になってきます。

この記事を書いた人
狭山清美

毛髪診断士、管理栄養士、フードコーディネーター
1984年生まれ。さいたま市出身。2児の母。
大妻女子大学管理栄養士専攻コースを卒業後、管理栄養士資格を取得。
健康食といわれる和食の利点を活かしつつ毛髪効果のある「和料理」を提唱する。趣味はマンガ(ワンピース)。

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