「心のケア」も治療の重要な柱

「心のケア」も治療の重要な柱
なかなか理解してもらえない悩み
薄毛、脱毛の治療にあたってクリニックは、必要に応じて適切に「心のケア」を提供することが、重要です。
現在の日本における医療のなかで、「心のケア」を受け持っているのは、精神科、心療内科などです。
本来は、精神科は人間の精神的なトラブルを担当する診療科、心療内科は体の病気に何らかの心理的な要因がかかわっている状態(心身症)に対する診療科です。
患者さんの立場からは、実際のところ、どちらも「心のケア」にあたっている診療科という理解で差し支えないと思います。
クリニックでは、精神科の専門医が、髪の毛に対するチーム医療の重要なスタッフとして加わり、患者さんの治療にあたっているところもあります。
髪の毛のことというのは、「ある人一にとってはあって当たり前」「ない人」にとっては深刻な悩みです。
自分以外の人にはなかなか理解や共感をしてもらえない悩みですし、几帳面でまじめな人ほど、そう簡単に誰かに相談できないことでもあります。
一人で抱え込んで、どんどん悩みが深くなってしまう人も少なくありません。
残念なことにいまの日本の社会では、薄毛や脱毛を、ユーモアや笑いの対象にするような風潮もあります。
職場の同僚、上司や取引先の人から、会うたびに「最近、薄くなったんじゃないの?」とからかわれる。
実は深刻に悩んでいるのだけれど、そうと知られるのを恐れて、本人も笑顔で「いやあ、そうなんですよ」と返してしまう。
顔で笑って心で泣いているのです。

「自分のイメージ」と「周りが見る目」
「自分自身のイメージ」と「周りの人たちの見方」のギャップという問題もあります。
本人は、「こんなに薄い頭で、誰にも会いたくない」「みんなが自分のことを笑っている」と思っているけれど、実際に周りの人たちはたいして気にしていない。
そんなことも少なくありません。
客観的に見れば、髪の毛の現状としてはまったくといっていいほど問題ないのに、「薄くなった。たいへんだ」と深刻に悩んでいる人がいます。
たとえばあなたが誰か知り合いから、「このごろ髪の毛が薄くなったようで、気になって仕方がない」と言われ、その人の頭部を見たところ、とくに薄いところもおかしなことも何もないとしたら、どうでしょうか。
「そんなことないよ」「気にすることはない」「気のせいだよ」などと返事をしたくなるかもしれません。
しかし多くの場合、「気のせい」と言われても、その人の悩みはほとんど和らぎません。

不安やうつ気分が強まると
髪の毛も気持ちも改善すれば
私たち人間は、悩みや困ったことがあったり、何かに行き詰まったりすると、不安な気持ちや、沈んだ気分(うつ気分)になることがあります。
そのこと自体は、誰にでも起こる自然な心の動きの一つであって、おかしなことでも何でもありません。
しかしそういった不安やうつ気分が、とても強くなったり、ひどく長引いたりすると、たいへんつらい気持ちになりますし、仕事のミスが増える、勉強が進まない、家事ができない、などの具体的な差し障りが出てくることもあります。
そのようなことにまでなってくると、いつまでも一人で抱え込んでいないで、医師など専門家によるアドバイスを受けたほうがいい状態と考えられます。
髪の毛の状態も、心のあり方も、人それぞれですが、発毛を促進する、脱毛の進行を抑制するといった頭髪の治療と併行して、「心のケア」を適切に提供することによって、治療がずっとスムーズに進むことがあります。
髪の毛がよくなるにつれて明るい気分になる人もいますし、心のケアを通じて気持ちが上向いてきて、頭髪治療への取り組みが積極的になり、髪の毛もよくなってくるという人もいます。

「心のケア」の二つのパターン
頭髪治療と心のケアのかかわりは、大きく二つのパターンに分けて考えると、少しわかりやすくなるかもしれません。
まず、客観的な髪の毛の状態はそれほど悪いとはいえないのに、本人が非常に強く悩んでいるといった場合です。
多くの場合、髪の毛の治療もそれなりに続けながら、それほど強い悩みがいったいどこから生まれてくるのかを、患者さんと一緒に考えていくことが大切になります。
一方、薄毛、脱毛がそれなりに進んでいて、不安やうつ気分を強めている人がいます。
髪の毛が薄くなって、イヤだ、困る、心配だ、などと不安を感じたり落ち込んだりするのは自然な気持ちですが、それが強くなりすぎると、そのこと自体がまた患者さんを苦しめることになります。
患者さんのそのときどきの状態に応じた適切な対処が必要です。
以下に、それぞれの具体的な事例を見てみることにしましょう。

体の変化を実感し、不安が減少
受験勉強中に髪の毛の不安が
Fさん(18歳、男性)がクリニックを最初に訪れたのは、7月のことでした。
現役での大学受験に失敗して、予備校に通っていました。
髪の毛のことに関しては、中学生のころから、自分はなんとなく薄いのかな、抜け毛が多いかなと心配していましたが、それほど深刻になることはありませんでした。
予備校に通い始めてから、髪を洗ったりしてふと鏡を見たときに、頭皮の地肌がすごく目立ってスカスカしていると思い、このままどんどん薄くなるのではないかと、気になって仕方がなくなってしまいました。
勉強しなきゃいけない、成績を上げていかなければということはわかるけれど、どうも髪の毛のことに考えが行ってしまい、勉強が手につきません。
頭皮がかゆくなると、頭皮の病気なんじゃないだろうかと心配になったりもするとのことでした。
初診時にこれまでの経過を聞いたうえ頭部の状態を見ると、地肌にもまったく問題がありません。
診察の結果、身体面でもとくに異常は見られませんでした。
診察の結果とくに異常がないと判断すれば、「あなたの髪の毛に、医師としてとくに気になるところはありません」「いまのところ、頭髪治療の必要はないと思います」などと初診の患者さんに助言するのも、それほど珍しいことではありません。

不安が減り、勉強に集中できるように
しかしFさんは2週間後に再び来院し、「どうしても髪の毛の治療を受けたい」と言います。
「そういうことならば、必要最小限の治療をやっていけば、心配ありませんので」ということで、飲み薬、塗り薬などを最少の量で処方して、治療を開始しました。
頭髪にとくに問題がない人でも、薬の効果による発毛促進などによって、体毛が増えたり、うぶ毛が濃くなってきたりします。
Fさんは自分の体の変化を実感し、「よくなってきている」と思えるようになりました。
髪の毛についての不安がだんだん減り、それにつれて、勉強に対する集中力が上がっていきました。
自信が高まるにつれて、不安が減っていったという面もあるようでした。
翌年の春、第一志望ではないものの希望した大学に入学しました。
その後、塗り薬だけの治療に切り替えました。
診療のなかで、大学での人間関係の悩みなどについて話し合うこともあります。
本人が何か続けないと不安だということで、塗り薬を処方してもらうため、現在も通院を続けています。

カウンセリングや薬物療法も
毎日を安心してすごせるように
Fさんのようなケースで、どうして髪の毛がどんどん薄くなるという不安が強まってしまったのか?
その原因や理由を正確に特定することはなかなかできませんし、原因を突き止めるのは、それほど大事なことでもありません。
大学受験浪人1年目の7月、8月といえば、多くの受験生が不安な気持ちをたいへん強める時期ですから、そうした不安心理が、中学生のころからなんとなく気になっていた髪の毛のことに向かっていったのかもしれません。
特定の心配ごとが気持ちから離れずに、切り替えがきかなくなってしまう心理状態のことを、精神医学の用語で「強迫観念」といいます。
Fさんは、何らかの理由で強迫的な心理傾向を強めていたのかもしれません。
原因や理由がどうであっても、不安やうつ気分が強くなりすぎれば、それ自体が本人に強い苦痛を与えたり、日常生活に支障をもたらしたりすることがあります。「心のケア」という視点からいえば、大事なのは、その人が毎日を平穏で安心した気持ちで暮らせることです。
Fさんの場合は、体毛などの変化から改善を実感し、それが不安の軽減、自信の向上へとつながりました。

どんな「こころの壁の治療」が適切かは、人それぞれ
どうしてそんなに髪の毛のことばかりを気にしてしまうのか?について患者さんと医師が話し合うと、ものの見方や考え方をそれなりに整理できます。
これだけで、人によっては 気持ちが落ち着いてくることもあります。
カウンセリングを含む精神療法とも呼べるでしょう。
不安やうつ気分が強ければ抗不安薬や抗うつ薬を。
眠れない、夜中や早朝に目が覚めるなど睡眠の乱れが問題なのであれば、睡眠導入剤を処方したりすることも。
不安やうつ気分に対する薬も、副作用が少なく使いやすいものが各種実用化されています。
心配しすぎずに、医師とよく相談してみましょう。
Fさんのケースからもわかるように、客観的にどの程度「薄く」なっているのかということと、本人がどれくらい気にしていたり、つらかったりするのか、どの程度の治療を実施すればいいのかは、単純に比例するものではなく、人によってさまざまです。
頭髪治療を実際に進めていくなかで、デリケートでむずかしいところであり、「心のケア」が大事な柱と位置される、理由でもあります。

薄毛からしだいに自信をなくし
ここ数ヵ月で抜け毛が急に増えた。
実際に髪の毛がかなり薄くなって、精神的にもつらい状態に陥っていたケースを紹介します。
Gさん(40歳代、男性、公務員)は、以前から少しずつ髪の毛が薄くなってきたようには感じていましたが、ここ数ヵ月で急に抜け毛が増えてきたと思いました。
また、集中力、注意力が低下しているような気がする、忘れ物が多い、仕事でもケアレスミスが多い、そういったことを妻が気にして、クリニックを訪れました。
しかし、精神面では、元気がなく、覇気がなくて、かなりうつ気分を強めているようでしたが、薬を使用しての精神面の治療がすぐに必要というほどではありませんでした。

治療の進展につれ、抑うつ気分も改善
「いまいちばん気になるのは髪の毛」ということでした。
クリニックでは、「発毛のことについては、正直いって、やってみないとわからないところがあります。 いつごろどれくらいと約束はできませんが、できることをやってみましょう」と説明をしたうえで、塗り薬、飲み薬、ビタミン、ミネラルなども使用しながら、治療が開始されました。
頭髪治療では、このように、治療法として実際にどんな選択肢があるのか、どれくらい改善の見込みがあるのか、「いまの段階ではハッキリとはわからない」ことも含めて、初診時にできるかぎり説明するクリニックは多いです。
そのために、第1回の診察と説明にかなり時間をかけるケースが多くなっています。
診療を何回か重ねるなかで、性格的にあがりやすいところがあり、人を押しのけてでも何かをやるというタイプではないといった印象でした。
治療によって髪の毛は順調に回復し、頭髪の状態と併行するように、気分が晴れ晴れとして、抑うつ的な気分も改善してきました。
ふつうに明るく仕事に取り組めるようにもなったのでした。

「発毛」と「心のケア」は治療の両輪
「髪の毛の治療」と「うつの治療」
Gさんは、もともとあまり人の前に立つような性格ではなかったところに、前から気にしていた薄毛が数ヵ月で急に進展し、それにつれてだんだんと自信を失い、抑うつ的な症状も出てきていたようでした。
こういった成り行き自体は、人の気持ちとして無理のない部ものといえます。
このケースでは、まず頭髪の治療に取り組み、幸いなことに、頭髪の改善とともに抑うつ症状も軽減するという経過になりました。
しかし、抑うつ症状がよりきびしく、医師として心配な状態、たとえばうつ気分が強くて本人がとてもつらく感じていたり、仕事や暮らしに重大な支障が出ていたりするような状態であれば、うつ症状の治療を優先することも、当然ありえます。
「髪の毛の治療」と「うつ症状の治療」、医療としてどちらを優先するかといえば、「うつ症状の治療」です。
Gさんの場合、仕事のミスが増える、忘れ物が多いなど、生活上の小さな差し障りも出ていましたが、すぐに精神面での薬物治療が必要なほどの状態とはいえず、本人の「いまいちばん気になるのは髪の毛」という気持ちもあり、まず「髪の毛の治療」を、という判断をしたわけです。
なお、いままで見てきたFさんやGさんのような男性だけでなく、女性の患者さんでも、「心のケア」の重要な場合があることに変わりはありません。

髪の毛ばかりで悩まないためには
髪の毛の治療を進める経過のなかで、「心の問題」が出てくることもあります。
一つには、客観的に見て、それほど悩んだり心配したりするような髪の毛の状態じゃない人と、どうやって話しをするか、ということがあります。
髪の毛の治療ですから、診察時に、患者さんの前頭部、頭頂部の写真を撮ります。
その写真を本人に見せながら、「これがあなたのお友達なら、どう思いますか?」と尋ねると、「うーん。薄いといえばちょっと薄いかな、というくらいの感じ」との言葉が返ってきます。
しかし、「そうでしょう? 周りの人たちの目に映っているあなたは、それくらいのものなんですよ」と説明すると、今度はなんとなく、釈然としない表情。
そんなことも珍しくありません。
髪の毛のことばかりが気にならなくなるためにはどうすればいいのか、話し合いのなかで考え方を整理していくのも大事なことです。
しかし、その人はいま髪の毛の悩みで頭がいっぱいですから、まず髪の毛の治療に取り組み、本人が改善を実感し、それからもう少し他の話題での話し合いが深まっていく、ということもよくあります。
やはり実際には、頭髪治療と心のケアが車の両輪のように進んでいくことが多いようです。

ストレスケア・チェックシート
頭髪の状況と抑うつ気分
クリニックでは、患者さんに対して、「ストレスケア・チェックシート」という質問紙を使用しているところがあります。
これは、髪の毛のことで悩む患者さんの精神状況、心理状態、とくに抑うつ気分の程度を把握して、より適切な治療に役立てるために調べているものです。
回答時の抑うつ度が高い人ほど、合計点数が高くなるように設計されています。
薄毛の度合いが高い人ほど抑うつ気分も強いということでは必ずしもなく、薄毛の度合いも、抑うつ気分も、個人差がかなり大きく、やはり、それぞれの状況に合わせた頭髪治療と「心のケア」を配慮していくことが大切なのだろうと考えられています。

薄毛で悩む人、薄くないのに悩む人
薄毛の度合いが、かなり進んでいる人が抑うつ気分を強めているのは、比較的理解しやいすい、自然な気持ちといえるでしょう。
「髪の毛がずいぶん薄くなった」という現実の問題が目の前にあるわけですから、治療がうまく進んで、頭髪の状況がそれなりに改善していけば、抑うつ気分も軽減していくことが多いようです。
一方、客観的に見てとくに頭髪に問題がないけれど、悩みや抑うつ気分が強いという人の場合、「医師の目から見て、あなたのいまの髪の毛や頭皮に、とくに心配なところはありませんよ」と説明しても、それですぐに納得する人はあまりいません。
たいていの場合、「でも抜け毛がこんなにあります」「以前はもっとフサフサでした」といった訴えがさらに続くことになります。
そこで、それではまず、いまの医療でできるだけの対処をしてみましょう、という相談になることもあります。
またそのなかで、なぜそんなに髪の毛のことが気になってしまうのか?
頭髪のことばかりにとらわれないようになるためにはどんなことを大事にしたり、優先していったりすればいいのか?
患者さんと医師が一緒に考えていくのも、しばしば大切なことの一つになります。

改善へのきっかけは人それぞれ
髪の毛が思いどおりにならないと・・・
髪の毛というのは、考えてみると、人間の体のなかでも、なかなか不思議なパーツといえます。
皮膚の付属器といわれますが、髪そのものは単なるケラチンという硬タンパクの固まりで、血液も流れていませんし、神経も通っていないので、痛みなどの感覚もありません。
一方で、女性だけでなく男性でも、若い人ほど、髪の毛や髪型のことにたいへん気をつかいます。
ヘアスタイルをどうするか。
寝癖が残っていないか。
パーマのかけたり、カラーリングをしたり。
自分でいろいろと工夫できるものであるだけに、思いどおりにならないと、それがストレスになったり、ひどく気に病んだりする人も少なくないようです。
このごろ急に抜け毛が増えていると感じて、このままではじきに髪の毛がどんどん薄くなってしまうのではないかという不安にとらわれたり、髪を洗うたびに抜け毛の本数を数えることがやめられなくなっているような人もいます。

自分の外観をひどく気に病んでしまう
身体醜形障害、醜形恐怖症などと呼ばれる症状が、若い人に増えているといわれます。
自分の外観に欠点がある、おかしい、醜いと思い込んで、毎日長時間悩んだり、人前に出るのを避けたり、著しく気力をなくしてしまったりします。
ニキビやシワ、傷跡、毛深さなどや、目や鼻や耳、胸やお尻の大きさなど、体のさまざまな部位のことが悩みの対象になります。
とくに女性で、美容外科に通ってプチ整形を繰り返すなどという人もいます。
もちろん、髪の毛のことでひどく悩んでしまう人もいます。
これは、カウンセリングを含む精神療法や薬物療法で改善できることもあります。
しかし、本人が強く心を閉ざしたままでは、医師とのコミュニケーションも進みません。
このようなときに、まず「外観」からアプローチして、本人に変化を実感してもらってから、改善へのきっかけになることもあります。
髪の毛に悩んでいる人ならば、発毛を実感することで、自信を取り戻すことがあります。
顔のシワや傷跡の悩みであれば、カバーメイクやリハビリメイクによって、気持ちが軽くなってくることもあります。
「外観がよくなって、気持ちがラクになる」こともあれば、「気持ちが上向いて、外観の改善に前向きに取り組むようになる」人もいますし、「気持ちが明るくなって、外観のことにそれほどとらわれなくなる」ということもあるわけです。
発毛のための薬、脱毛の進行を抑える薬、サプリメントによる栄養改善、カウンセリング、心をラクにする薬、等々。
何がきっかけになって状況が好転するのかは、人それぞれです。
それはまた、結果的に「うまくいった方法」が、その人にとって「いい対処」であるということでもあります。

「治療のゴール」をどう考えるか
頭髪治療の経過と「心の起伏」
発毛促進の治療がうまくいっても、ずっと一定のスピードで髪が伸びたり増えたりするよわけではなく、一進一退、一時的にまた抜け毛が増えることもあります。
それにつれて当然、それぞれの患者さんなりに「心の起伏」があります。
それが一喜一愛、喜んだりガッカリしたりという程度のことならいいのですが、髪の毛の改善が目にし始めたときの喜びや期待が大きいほど、そう順調にはいかない局面を迎えたときに、精神的に不安定になることがあります。
なかには、もうダメだと絶望的な気分に陥ってしまったり、これまでそれなりに改善してきた経過も目に入らなくなって、まるでスタートラインに戻ってしまったような気持ちにとらわれてしまう人もいます。
そういった時期を適切に乗り切るためにも、「心のケア」がお手伝いとして役立つことがあります。

いまの医療で実現できることは
「治療の進展度」と「本人の満足度」という問題もあります。
頭髪治療では、人にもよりますが、だいたい1年から1年半くらいで、「自分のベストの状態」のようなものが見えてくることがあります。
治療を始めたときと比べればかなり髪の毛が増えた。
太く丈夫になった。
しかしいまの医療でできるのは、この辺までではないか。
自分の髪の毛の改善は、これくらいがベストかもしれない。
そこでどうするのか。
頭髪治療でいえば、フィナステリドによる男性型脱毛症の進行抑制でも、ミノキシジルを使用でした発毛促進でも、これまで就けてきたことを中止すれば、しばらく経って揺り戻しがありうることは、当然予想できます。
それはつまり、「治療のゴール」をどう考えるのか、ということでもあります。
医師は、いろいろとアドバイスはしますが、それを最終的に決断することができるのは、「髪の毛に悩む人」本人でしかありません。

自分の髪の毛に納得できる自分
人生の時計の針は止められない
人間はみんな、男性でも女性でも、年をとれば、皮膚も髪もそれなりに衰えていくということです。
髪の毛でいえば、年を経るにつれて、細くなったり、短くなったり、分量が減ったりします。
加齢による変化、つまり老化からまったく逃れることは、誰にもできません。
誰でも生きている以上、人生の時計の針は刻一刻と進んでいます。
それは病気でも異常でもなく、生命体の流れそのものです。
それを止めたり、逆に回したりすることは、現在の医学ではできません。
ただし、それを多少なりとも遅らせる努力は、個人としても、医療としても、それなりに試してみる価値はあります。
人生の時計の進み方には個人差があり、また同じ人のなかでも体のパーツによって差があります。
多くの人が髪の毛のことで悩むのは、人より早く髪の毛が減ってイヤだったり、それをオーバーに感じてしまったり、周囲の目が気になったり、自分で思っていいた以上に薄くなってしまい悲しかったり、といったところから出てくるようです。
自分自身の心身の流れを客観的に受け止められない不安、周りと自分を比べて感じてしまうコンプレックスなどに、見過ごせない根っ子があるのではないでしょうか。

「治療終了」のホイッスルを吹くのは
何ごとも、始まりがあれば、いつか終わりもあります。
頭髪治療の場合、「これでよしとしよう」という「終わりのホイッスル」を吹くことができるのは、「髪の毛に悩む人」本人です。
それはつまり、いまの自分の髪の毛に、それなりに納得できる自分になるということです。

この記事を書いた人
狭山清美

毛髪診断士、管理栄養士、フードコーディネーター
1984年生まれ。さいたま市出身。2児の母。
大妻女子大学管理栄養士専攻コースを卒業後、管理栄養士資格を取得。
健康食といわれる和食の利点を活かしつつ毛髪効果のある「和料理」を提唱する。趣味はマンガ(ワンピース)。

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