髪の毛のために、自分でできること

髪の毛のために、自分でできること
「いい感じ」がしたことを繰り返す
髪の毛も、人間の体の一部、皮膚の付属器の一つです。
過度の疲れやストレスから、頭髪の状態が急激に悪くなることもあれば、生活を立て直すことによって、抜け毛が減ったり、髪のコシやハリがしだいに戻ってくることもあります。
市販の育毛剤の選び方、使い方や、睡眠や食事の工夫、ストレス解消など、髪の毛のために「自分の力で」「身の回りで」できることを集めてみました。
薄毛、脱毛のタイプも、髪の毛の状態を改善するために何がプラスになるのかも、人により、状況により、さまざまな要素がかかわっています。
ここで紹介することを、全部やろうとする必要はありません。
気に入ったこと、自分に向いていそうなこと、できそうなこと、やってみる価値のありそうなことを、いくつでも、試してみてください。
やってみて、髪の毛に何かしら「いい感じ」がしたり、体の調子がよくなったり、気持ちが上向いたり、役に立ちそうに思えるものがあったら、それを何回も、根気よく、繰り返してみてください。

だけど、一人で頑張りすぎないで
自然治癒力という言葉があります。
傷ついた状態から立ち直るのも、元気や健康を高めていくのも、他人ではなく、根本的には自分自身の力によっています。
医師は、そのお手伝いをしているのです。
これは、体のことでも、心のことでも、髪の毛のことでも、変わりはありません。

もちろん、いつでも何でも自分一人で頑張らなければいけないということではありません。
誰かに上手に手助けを求めるのも、誰かのアドバイスを素直に受け入れるのも、その人自身の「人としての力」の一部です。
髪の毛の健康も、自分自身の努力でつかみ取るものです。
でもそのときに、誰かに相談したり助けを借りたりするのは、恥ずかしいことでも、おかしなことでも何でもありません。
その両方のことを、忘れないようにしてください。

市販育毛剤の成分と作用
「有効成分」と「期待される作用」
自分の薄毛や脱毛に気がついて、心配になった人の多くは、「市販の育毛剤を試してみようか。でも本当に効くんだろうか?」
と考えたことが、何度かあるのではないかと思います。
日本では現在、たくさんの種類の育毛剤が市販されています。
そこでまず、さまざまな市販育毛剤に含まれている「有効成分」と「期待される作用」を見てみると、それぞれ次のようになっています。

育毛剤に含まれるおもな有効成分
・末梢血管拡張剤(頭皮、毛根への血流をよくする)..…センブリエキス、塩化カルプロニウム、チクセツニンジンチンキ、ビタミンE誘導体、など
・毛母細胞活性化剤、毛髪代謝活性化剤(毛母細胞へのエネルギー供給、髪の毛の成長に必要な酵素の活性化)…ニコチン酸アミド、ペンタデカン酸グリセリド、パントテニールエチルエーテル、サイトプリン、アデノシンなど
・抗フケ剤(皮脂の分泌を抑える)
・殺菌剤(頭皮に繁殖する悪玉常在菌の活動を抑える)
・角質溶解剤(角質が厚くなりすぎないように溶かしフケを抑える)
・消炎剤(頭皮の炎症を抑える)
・保湿剤(頭皮の乾燥を防ぐ)
・栄養補給剤・ビタミン類、アミノ酸、など
・抗男性ホルモン剤(5a-リダクターゼの働きを阻害する)

期待される育毛剤の作用

・毛乳頭細胞の増殖を促す(毛を太く早く伸ばす)
・毛母細胞の分裂を促進する(幹細胞増殖因子、インスリン様増殖因子、など)
・毛包周囲の血流増加(末梢血管の拡張、血管内皮細胞増殖因子(VEGF》による新しい血管網の形成)
・頭皮の環境整備(皮脂抑制、殺菌、消炎、保湿、など)
・休止期への移行阻止(成長期の延長、線維芽細胞増殖因子(FGF》阻害剤、など)
・成長期への移行促進(休止期毛包を成長期に移行させる)

おもな四つの育毛剤の特徴
このように育毛剤の成分も作用も多彩ですが、現在のところ、髪の毛の発毛を促進するためのポイントになるのは、大別すると、「毛母細胞の活性化」「頭皮とその周辺の血流改善」の二つの働きです。
いま市販されている多くの育毛剤は、このどちらか、あるいは両方の特徴を備えています。
何十種類もの育毛剤が発売されていますが、そのうちおもな四つの商品について、その働きを簡単に見ておきましょう。

〈リアップ 大正製薬〉
主成分ミノキシジル(「リアップレディ」も同じ)。

〈イノベート ライオン〉
主成分サイトブリン、ベンタデカン酸グリセリド。
サイトプリンが毛根を再活性化し、ペンタデカン酸グリセリドが髪の毛の合成に必要なエネルギーを供給するとされています。

〈アデノゲン 資生堂〉
主成分アデノシン。
アデノシンの作用により、発毛促進因子FGF-7が産生し、毛母細胞が活性化するといわれています。

〈カロヤンガッシュ 第一三共ヘルスケア〉
主成分塩化カルプロニウム。
塩化カルプロニウムの作用で、頭皮、毛根の血行を促進するとされています。

これらのうち、「リアップ」「イノベート」「アデノゲン」は毛母細胞の活性化作用を重視して開発された育毛剤、「カロヤンガッシュ」は頭皮や毛根の血流改善に重点をおいた育毛剤といえます。

自分に合った育毛剤を選ぶ
「毛母細胞活性化」と「血流改善」
自分の薄毛、脱毛はどうして起きているのだろうかと考えてみたときに、全体的にアブラっぽく、血行も強そうな感じ。
自分の抜け毛は血行不良とはあまり関係がなさそうだという人。
しかし、ある時期から、髪の毛が細く、短くなってきて、ボリュームも減ったと感じられるようになってきたという人は、「毛母細胞活性化」タイプの育毛剤のほうが向いているかもしれません。
一方で、血行が不良だったり、体調を落としたりして、髪の毛に十分な栄養を届けることができていないせいなんじゃないだろうかというのであれば、「血流改善」系の育毛剤を試してみる、というのが一つの考え方です。
もちろん一概にはいえませんが、このタイプの人を、典型的な印象としていうと、寒くなると手足の先がすぐに冷える、細身、胃腸が弱い、肩こりや目の疲れが出やすい。
髪の毛のトラブルとしては、ある時期から急に抜け毛が増えて本数が減ってきた、というパターンが多いようです。
こういったケースでは、頭髪がうぶ毛のように、細く、短く、頼りなくなってきたといった現象はあまり見られないのがふつうです。

少なくとも6ヵ月は使ってみる
ただし、大きな考え方としてはいま說明したとおりですが、実際には、「使ってみないとわからない」こともいろいろとあります。
逆にいえば、使ってみて、自分として使い心地がよかったり、それなりに効果があがれば、それがその人にとっての「いい育毛剤」ということでもあります。
ただし、「自分に合った育毛剤を」「使ってみて「いい感じ」がするものを」といっても、今週はこの育毛剤、次の週はあちらの育毛剤と、短い期間に多くの種類の育毛剤を取っ替え引っ替えするように使用することは、おすすめできません。
それでは結局、どの育毛剤が効果があったのかなかったのか、わからなくなってしまいます。
市販の育毛剤の多くは、毛母細胞の活性化や頭皮の血流改善を働きかけ、髪の毛の成長を促進しようとしています。
その成果が表れてくるまでには、ある程度の月日がかかります。
その期間は、3~6ヵ月と考えておいてください。
市販育毛剤の説明書でも、あるいは医師が育毛促進の薬を使うときにも、「少なくとも6ヵ月は経過を見てください」とよく言います。
使用している本人の手ごたえとしては、早ければ3ヵ月前後で「なんとなく、効いてきているような気がする」などと実感する人もいるようです。
その後、実際に髪の毛が伸びたり増えたりしてきたと、外見上から確かめられるほどの状態にまでなるのが、使用し始めてから6ヵ月前後の時期。
効果があがる場合、だいたいそんな経過をたどるケースが多いようです。

育毛剤の上手な使い方
使用するのはシャンプー後に
市販の育毛剤を使っていくうえで大切なのは、自分なりの考えをもって試してみること。
それから、使うときには、適切な使い方、つまり明書に書いてあるとおりの使い方をすることです。
どの育毛剤でも、用量や使用回数、その他の注意事項などが、説明書にくわしく書いてあります。
おすすめしたいのは、シャンプー後なるべくすぐに、ただし水分をよく取り除いてから使用することです。
育毛剤の成分は、頭皮の、とくに毛穴の多い部分からよく吸収されますので、シャンプーでフケ、アブラをなるべくきれいに取り除いた後の、清潔な状態の頭皮に使用すると、それだけよく吸収されることが期待できます。
たとえば毎日夕方に入浴する人が、1日2回使用するタイプの育毛剤を使うのであれば、そのうち1回は、夕方の入浴、洗髪の直後に使用するようにするといいでしょう。

頭皮をけっして荒らさない
そのときに、けっして「頭皮を荒らさない」ように気を配る、ということです。
「フケ、アブラがない清潔な頭皮のほうが、育毛剤の吸収がいい」と聞いて、洗髪時に力を入れてコシコシ頭皮をこすったり、一日に何回も洗髪をしたりする人がいますが、そのようなやり方をすると、頭皮を傷つけてしまうおそれがあります。
頭皮に皮膚炎などが起きれば、痛かったりかゆかったり、不快な症状が出てきますし、育毛剤も使いにくくなります。
また、頭皮の正常な血流が悪化して、髪の毛そのものにも悪い影響を与えます。
水仕事のやりすぎで手が荒れたとか、疲れ気味で顔の皮膚がガサついてきたとか、そういった感覚は、誰もがもっていると思います。
頭皮も皮膚ですから、基本的にはそれらと同じことです。
傷をつけたり、湿疹やカブレなどができたりしないように、やさしくていねいに扱うようにしてください。

外国の育毛剤を使うのは?
日本人の頭皮はデリケート
「外国で販売されている育毛剤を使ってみたいのだが、どんなものなんだろうか」と思っている人もいると思います。
たとえば日本の代表的な市販育毛剤「リアップ」は、主成分であるミノキシジル1%濃度で作られています。
女性用の「リアップレディ」も同じ濃度です。
アメリカで販売されている育毛剤「ロゲイン」は、同じ成分であるミノキシジル5%濃度、女性用の「ロゲインフォーウィメン」は2%濃度の商品です。
「濃度が高いほうが効きそうだから、使ってみたい」というわけです。
たしかに有効成分の濃度が高くなれば、より高い発毛効果が期待できるともいえますが、それだけ、頭皮の荒れが起こるおそれも高くなります。
一般に、日本人の頭皮は欧米人よりデリケートで傷つきやすいといわれています。
そこで日本の商品は、平均的な日本人を想定して、相応の発毛効果が期待でき、頭皮を荒らすおそれが少ない、ちょうどいいバランスの濃度として、ミノキシジル1%濃度で開発されたものと考えられます。

頭皮の荒れに十分注意して
複数の育毛剤を同時に使ってみたいという人もいます。
たとえば「「リアップ」と「イノベート」を一緒に使ってみたらどうだろう」というのです。
どの育毛剤の説明書にも、「ほかの育毛剤を使わないでください」という趣旨の記載があります。
複数の育毛剤を使えば、その両方の有効成分の効果が期待できるかもしれませんが、そのときにもやはりいちばん心配されるのは、頭皮の荒れです。
薬による発毛効果がどれくらいあがるのか。
頭皮の荒れが起きるのかどうか。
どちらも個人差が大きく、それぞれの人でどうなるかは、使ってみないとわからないというのが実際のところです。
以上のような理由から、自分の責任で、個人輸入などで外国の商品を試してみたい、複数の育毛剤を併用してみたいというときには、頭皮の荒れが起きていないかどうかに、十分注意するようにしてください。
少しでも気になることが出てきたり、心配に感じたときには、すぐに近くの皮膚科医に相談するようにしてください。

シャンプーは指の腹でやさしく
シャンプーは刺激の少ないものを
薄毛が心配だったり、とくに頭皮の湿疹やかゆみなどが日ごろから気になる人にとっては、自分に合ったシャンプー選びも大切なことの一つです。
頭皮にしみるような成分が含まれていたり、シャンプーした後に、つっぱったり、乾きすぎたりするような感じなど違和感があるものは避けて、刺激の少ないものを選ぶようにしてください。
実際のシャンプーでは、二度洗いが効果的です。
髪の毛をよく濡らして、シャンプーを髪全体に伸ばし、泡立てて、まず髪の毛を洗い、一度すすぎます。
もう一度シャンプーをつけて、今度は頭皮をやさしく洗います。
シャンプーが残ると頭皮に負担がかかりますので、ゆっくりと十分にすすぐようにしてください。

フケ、アブラをシャンプーに溶かし込む
ポイントは、力を入れすぎず、強くこすらず、ツメを立てずに指の腹だけを使って、やさしく洗うようにすることです。
フケやアブラは、こすって取れるのではなく、シャンプーに溶かし込むことによって落ちるのです。
たとえばこんな言い方をしています。
「それでは、手相を見てください。
両方の手のひらを自分のほうに向けて見ます。
はい、シャンプーのときには、いま見えているところだけを使って、力を入れすぎずに洗うようにしてください」
試しに、自分の指で、脚のスネのあたりをギュッと押してみてください。
かなりの痛みを感じるのではないでしょうか。
指先で体のどこかを押しているときには、それだけの力がかかっているのです。
顔を洗うときに、指を立ててひっかくようにして汚れを落とそうとしたり、ゴシゴシと力を入れてこすったりするようなことは、ふつうしないはずです。
頭皮に対しても、それと同じように、やさしく扱ってほしいのです。

頭皮のマッサージ、ブラッシング
頭皮マッサージはシャンプー前に
頭皮の緊張をほぐし、血流をよくすることを期待して、頭皮マッサージがすすめられることもあります。
数本の指の腹で頭皮を押さえるようにして、やや力を入れて圧迫し、力を抜いて指を頭皮から放す。
この動作を何回か繰り返します。
指の腹で頭皮を軽くつかむようにして、適度に力を入れながら頭皮を前後に動かす。
前頭部から頭頂部、後頭部から頭頂部、側頭部から頭頂部へともみ上げていく。
こうしたやり方もあります。
ただし、頭皮を傷つけてしまわないように十分に水気をつけましょう。
あまり力を入れすぎたり、強くこすったり、といったやり方はしないようにしてください。
シャンプーのときにマッサージも一緒にやろうとすると、どうしても力を入れてこするようになってしまいがちです。
頭皮をマッサージするときには、シャンプーの前にやるようにするといいでしょう。

ブラシの先を頭皮に強く当てない
プラッシングをするときにも、やはり頭皮を傷つけないように、ブラシの先を頭皮に強く当てないようにしてください。
いまでもときどき、ブラシで頭皮を強くこすって「フケ落とし」をしようとしている人がいますが、頭皮が傷つくばかりで、フケの改善にはなりません。
フケは、シャンプーに溶かし込むことによって落ちるのです。
ナイロンブラシで強くブラッシングをしたり、硬い金属のブラシを使うと、枝毛や切れ毛など髪の毛を傷つけたり、頭皮に悪い影響を与えたりするおそれがあります。
また、髪の毛を広い範囲で逆立てたり、無理なヘアスタイルを繰り返すのも、頭髪、頭皮、どちらの健康にとっても、あまりいいことではありません。
できるだけ、ブタの毛やイノシシの毛などで作った、頭皮と頭髪にやさしいブラシを選ぶことをおすすめします。
頭皮マッサージもプラッシングも、「毎日必ず」などとあまりこだわらずに、「頭皮にやさしく」を第一に考えて、「できるときに、できる範囲で」というくらいのラクな気持ちでやるようにするといいでしょう。

この記事を書いた人
狭山清美

毛髪診断士、管理栄養士、フードコーディネーター
1984年生まれ。さいたま市出身。2児の母。
大妻女子大学管理栄養士専攻コースを卒業後、管理栄養士資格を取得。
健康食といわれる和食の利点を活かしつつ毛髪効果のある「和料理」を提唱する。趣味はマンガ(ワンピース)。

狭山清美をフォローする
抜け毛と薄毛の対策
狭山清美をフォローする
プラチナコスメ・ヘルスケアの総合メディア【ロンデール】
タイトルとURLをコピーしました